ハープシコード の整調  Harpsichod

  ハープシコード、チェンバロ、クラブサンなどと呼ばれるこの楽器は、
  ピアノが発明される前の鍵盤楽器で、バッハも使用したとのこと。

  音色に倍音を多く含む独特の美しさがあり、一度聴いた人は
  ぜひ手元に置きたいと衝動にかられる人も多いが、現物を見る
  機会も、それを置くスペースも、ハープシコードについての資料も
  少なく、ましてや そのメンテナンス方法も皆目わからない。

  ピアノと違い、調律もメンテナンスも ご自身でやらなくてはならない
  ので、買ってはみたものの 全く手に負えない お荷物になりそうな
  ハードルの高い楽器であることは間違いない。

  インターネットが発達した現代であるから、ある程度の知識は
  得られ、ピアノの整備に較べたら断然簡単なので、意欲のある人は 
  挑戦してみてください。

  特に難しいのが「調律」で、これはチューナーというのが販売されて 
  いて ある程度 可能だが、調律操作がクリチカルなので
  機械に頼ろうとしても表示が目まぐるしく動き 結局 耳の方が確かだ。 

  調律には現代の平均率でも弾けるが、当時の雰囲気を味わいたい
  のなら、純正調、ピタゴラス、ミーントーン、ヴェルグマイスター、
  キルンベルガー、中間調、古典調、と各種の調律法があり、
  チューナーに組み込まれているから 詳しく知らなくても可能だ。
  
  私は会社が費用を負担してくれ、メンテナンスの講習に参加する
  事ができた。
  講師は郡司さんという年配の女性で、三日間ほどの講習で、
  ほぼ完璧に習得できた。
  元々 調律は出来たし、ビアノの整調より数が少ないので、
  原理さえ理解すれば難しいことはなかった。
  しかし、0.1ミリ単位の調整であるから、目と指先と神経の細やかさ 
  は必須なので、心しておいてください。

  鍵盤の幅は現在のピアノより狭く、鍵盤の下がる深さがピアノでは
  10ミリほどに対しハープシコードでは 6ミリである。

  鍵盤の配色も、ピアノとは白・黒 逆で、奏でる音量は極めて小さく、
  強弱も変えられない。   ダンパーペダルはない。
  鍵盤数は61鍵ぐらいから多くても 75鍵ぐらいかな?

  弦は細く 張力も弱い。チューニングピンも細く 短い。

  発音は、弦に爪を引っかけて行うが、当時はカラスの羽の軸を
  使っていた。現在ではプラスチック。
  発音は、一段鍵盤で二種類の音を、二段鍵盤なら合計四種類の音を 
  同時発音できる。
  
  さて、「整調」は6工程。 ピアノに較べたら ずいぶんと少ない。

  @ 鍵盤調整⇒鍵盤の上部を水平に(鍵盤均し)、下がる深さは
     6_ほどにストッパーレール調整で揃える。(鍵盤あがき) 
  A アクション全体が待機している位置(左右)を調整する。
  B ジャックの長さを変えるボルトを調整し、爪が弦に触れるまでの
     距離を 0.2_にする。
  C ダンパーを上下して、ストロークの範囲を約3ミリにする。
  D 爪が弦に掛かる深さを弦(円)の中心点より0.2_ほど出す。
     爪の硬軟があるので、0.2_は参考数値。
  E 四弦 同時発音させる場合は、タッチが重くなるので、
     Bのタイミングは、二弦を若干 遅らせる。
    * ミュートストップというレールを装備しているものもある。

  写真もイラストも無くて分かる筈もないが、たとえ写真やイラストを
  入れたとしても「調律」は教えられず、結局 手取り足取りして
  教えるしか方法がない。
  実際の現場をチョッとだけ経験すると、そのヒントで後は本などでも
  理解するに充分だ。もちろん自分自身の探求心は欠かせない。


  

参考ウエブサイト http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AD
一段鍵盤チェンバロの概念図。1) 鍵(キーレバー), 2) ネームバッテン, 3) ネームボード, 4) チューニングピン, 5) ナット, 6) ジャックレール, 7) アッパー・ガイド, 8) 弦, 9) ブリッジ, 10) ヒッチピン, 11) ライナー, 12) ベントサイド/テール, 13) オーバーレール, 14) 響板, 15) ギャップ, 16) アッパー・ベリーレール, 17) ジャック, 18) ローワー・ベリーレール, 19) 底板, 20) ラック, 21) ガイドピン, 22) ローワー・ガイド, 23) レストプランク, 24) バランスピン, 25) キーボード・フレーム。